お単衣の愉しみ..、研鑚された美意識. 真栄城興茂/美絣と城間栄順/紅型"サバニ"
ここ近年、5月末から6月初旬..、名古屋.東海地方ではこの時季から真夏日になる事が多いようです。
以前では、梅雨が終わると夏を迎える..、いまでは真夏の中に"梅雨"があると言う季節感覚になってしまっているようです。
着物の歳時記とあわせると5月/6月は単衣仕立ての時季とされています。
この度の<きものと帯の"あわせ">は、単衣のお着物を取り上げてみたいと思います。
掲載をさせて頂いているお着物は草木染め絹織物です。
駒糸と絹糸と言う質感の異なる織糸をバランス良く織り込むことで、お単衣のお着物としては理想的な素材感がつくられています。
湿度が上がり、体感温度も高く感じられる始める時季には、絶妙な素材感を憶えさえてくれます。
この素材感なんですが、単衣の着物に使われることがある生紬素材のような硬さはありません。
そもそも、駒糸なる織糸は、単衣織/夏織などの織物に使われる撚糸のひとつなんですが..、この織糸が使われると空気の通りが良くなるんですね。
しかし、ただ駒糸を使い織るだけは、ちょっした"ざら付いた感じ"が出てくる..、肌の触りがさらっとしていると表現すれば聞こえは良いかも知れませんが、着姿や着心地に満足できないこともあるんです。
この織物は、柔らかく、身体に馴染む感じがある。
薄くても..、僅かに透けていながらも、生地として、布としてしっかりとした質感をもっている。触れると..、他の織物と比べると誰でも実感できる程、素敵な素材感なんですね。
お単衣のお着物としてはこれ以上ないと言う質感を伝えてくれます。
これは、制作者が求めた"単衣の着物のため"の素材感覚なのです。
使われている駒糸はどこにでもある駒糸ではない..、制作者の意向でつくられた駒糸だけが使われているんです。
制作者独自の織糸だけが使われているからこそ、当然のように他にはない素材感が生まれるんです。
そして、この織物の魅力は、お単衣のお着物としての素材感だけではありません..、この柔らかい絹布に染められた琉球藍の彩りと織り込まれた絣の美しさは筆舌に尽くしがたいほど素晴らしい仕上がりをみせてくれています。
ただ藍が..、琉球藍が綺麗だけではないんですね。
駒糸と絹糸で織り出されたこの生地が、僅かに透ける..、光を通すのです。
織地と琉球藍が光を受けることで、色艶に移り変わりをもたらすんです。
そして、琉球藍の中に織り込まれた絣は、まるで夜空の星のような印象を憶えさせてくれます。
また、織り込まれた絣と縞を、しばらくの間、眼にしていると、リズムをともった音のような何かがが聞こえてきそうなのです。
絣織が..、縞織が..、洗練され尽くされるとこの様な美しさをもたらしてくれるんですね。
この織物の制作者は、染織家.真栄城興茂氏が手掛けた琉球美絣です。
真栄城興茂が制作する"絣織"は、先代真栄城興盛氏がつくり上げた"真栄城家の絣織"であり..、琉球の伝統的な絣織とは性格を異にした、絣織と草木染めを駆使した創作的な織物なのです。
美絣には、琉球染織の香りがありながらも、伝統を想わせる感じや土臭い印象がない..、繊細であり、創造的である、美意識を想わせるんです。
着物として、この藍の美絣は、もはや"絣織"とか"織物"と言う感じではなくて、もう"ひとつ""ふたつ"上の感じを持っているし、感じられるかと思います。
帯は、城間栄順制作の琉球紅型..、"サバニ"と"波"と"夜光貝"が染め描かれた紅型帯地です。
"サバニ"とは琉球漁民が使っていた帆舟のこと..、その帆舟と沖縄の夜光貝、そして、その間に"波"が描かれている。
"琉球の海民"を暗示しているかのようであり、紅型にはあまり見掛けない、どこか寓話的な空気が感じられます。
この帯地は、ほぼ白色に近い経縞の節が織り込まれた紬地に染められているんですが、この白い紬素材は、"海"を想わせる絵と顔料の彩りにとてもよく馴染んでします。
薄物のための帯地でも、素材でもないのですが..、この城間栄順の"サバニ"の紅型が染められることで、単衣を想わせる、どこか澄んだ印象を伝えています。
この度の"きものと帯のあわせ"は、単衣時季の装いをテーマとさせて頂いたんですが、"単衣"と言う時季を視点としたお話とは別に、その"あわせのConcept"を解いてみると..、絣織の着物と染め帯の特別な"着物美的感性"が"きものと帯のあわせ"にある様に思います。
"街着"ではない..、確かに、絣や縞、織物、染め帯では、一般的な着物の格式を求められないけれども..、着物を着る方の"品格"だったり、"センス"だったり、"インテリジェンス"などは、着物や帯の類別や格式によって伝わる訳ではないんです。
真栄城興茂の藍の美絣も、城間栄順の"海の民"を暗示したかのような紅型も、伝統工芸に止まる以上の存在感が感じられるし、印象が伝わってくるんです。
沖縄の織物と染物を"揃いあわせ"たと言うことではなくて、制作者..、染織家の美意識が、琉球染織と言う枠を超えて、着物や帯という作品に込められているんです。
お単衣の時季の"きものと帯のあわせ"です。
この時季特有の陽光や空気が、この藍の美絣にも、サバニの紅型にも、とてもよく馴染んでくれます。
そして、どこに来て行くか、いつ着るのか..、と言うお話以上に、着物に対する、また、美術や工芸に対する想いを伝えてくれる"あわせ"になると思います。
以前では、梅雨が終わると夏を迎える..、いまでは真夏の中に"梅雨"があると言う季節感覚になってしまっているようです。
着物の歳時記とあわせると5月/6月は単衣仕立ての時季とされています。
この度の<きものと帯の"あわせ">は、単衣のお着物を取り上げてみたいと思います。
掲載をさせて頂いているお着物は草木染め絹織物です。
駒糸と絹糸と言う質感の異なる織糸をバランス良く織り込むことで、お単衣のお着物としては理想的な素材感がつくられています。
湿度が上がり、体感温度も高く感じられる始める時季には、絶妙な素材感を憶えさえてくれます。
この素材感なんですが、単衣の着物に使われることがある生紬素材のような硬さはありません。
そもそも、駒糸なる織糸は、単衣織/夏織などの織物に使われる撚糸のひとつなんですが..、この織糸が使われると空気の通りが良くなるんですね。
しかし、ただ駒糸を使い織るだけは、ちょっした"ざら付いた感じ"が出てくる..、肌の触りがさらっとしていると表現すれば聞こえは良いかも知れませんが、着姿や着心地に満足できないこともあるんです。
この織物は、柔らかく、身体に馴染む感じがある。
薄くても..、僅かに透けていながらも、生地として、布としてしっかりとした質感をもっている。触れると..、他の織物と比べると誰でも実感できる程、素敵な素材感なんですね。
お単衣のお着物としてはこれ以上ないと言う質感を伝えてくれます。
これは、制作者が求めた"単衣の着物のため"の素材感覚なのです。
使われている駒糸はどこにでもある駒糸ではない..、制作者の意向でつくられた駒糸だけが使われているんです。
制作者独自の織糸だけが使われているからこそ、当然のように他にはない素材感が生まれるんです。
そして、この織物の魅力は、お単衣のお着物としての素材感だけではありません..、この柔らかい絹布に染められた琉球藍の彩りと織り込まれた絣の美しさは筆舌に尽くしがたいほど素晴らしい仕上がりをみせてくれています。
ただ藍が..、琉球藍が綺麗だけではないんですね。
駒糸と絹糸で織り出されたこの生地が、僅かに透ける..、光を通すのです。
織地と琉球藍が光を受けることで、色艶に移り変わりをもたらすんです。
そして、琉球藍の中に織り込まれた絣は、まるで夜空の星のような印象を憶えさせてくれます。
また、織り込まれた絣と縞を、しばらくの間、眼にしていると、リズムをともった音のような何かがが聞こえてきそうなのです。
絣織が..、縞織が..、洗練され尽くされるとこの様な美しさをもたらしてくれるんですね。
この織物の制作者は、染織家.真栄城興茂氏が手掛けた琉球美絣です。
真栄城興茂が制作する"絣織"は、先代真栄城興盛氏がつくり上げた"真栄城家の絣織"であり..、琉球の伝統的な絣織とは性格を異にした、絣織と草木染めを駆使した創作的な織物なのです。
美絣には、琉球染織の香りがありながらも、伝統を想わせる感じや土臭い印象がない..、繊細であり、創造的である、美意識を想わせるんです。
着物として、この藍の美絣は、もはや"絣織"とか"織物"と言う感じではなくて、もう"ひとつ""ふたつ"上の感じを持っているし、感じられるかと思います。
帯は、城間栄順制作の琉球紅型..、"サバニ"と"波"と"夜光貝"が染め描かれた紅型帯地です。
"サバニ"とは琉球漁民が使っていた帆舟のこと..、その帆舟と沖縄の夜光貝、そして、その間に"波"が描かれている。
"琉球の海民"を暗示しているかのようであり、紅型にはあまり見掛けない、どこか寓話的な空気が感じられます。
この帯地は、ほぼ白色に近い経縞の節が織り込まれた紬地に染められているんですが、この白い紬素材は、"海"を想わせる絵と顔料の彩りにとてもよく馴染んでします。
薄物のための帯地でも、素材でもないのですが..、この城間栄順の"サバニ"の紅型が染められることで、単衣を想わせる、どこか澄んだ印象を伝えています。
この度の"きものと帯のあわせ"は、単衣時季の装いをテーマとさせて頂いたんですが、"単衣"と言う時季を視点としたお話とは別に、その"あわせのConcept"を解いてみると..、絣織の着物と染め帯の特別な"着物美的感性"が"きものと帯のあわせ"にある様に思います。
"街着"ではない..、確かに、絣や縞、織物、染め帯では、一般的な着物の格式を求められないけれども..、着物を着る方の"品格"だったり、"センス"だったり、"インテリジェンス"などは、着物や帯の類別や格式によって伝わる訳ではないんです。
真栄城興茂の藍の美絣も、城間栄順の"海の民"を暗示したかのような紅型も、伝統工芸に止まる以上の存在感が感じられるし、印象が伝わってくるんです。
沖縄の織物と染物を"揃いあわせ"たと言うことではなくて、制作者..、染織家の美意識が、琉球染織と言う枠を超えて、着物や帯という作品に込められているんです。
お単衣の時季の"きものと帯のあわせ"です。
この時季特有の陽光や空気が、この藍の美絣にも、サバニの紅型にも、とてもよく馴染んでくれます。
そして、どこに来て行くか、いつ着るのか..、と言うお話以上に、着物に対する、また、美術や工芸に対する想いを伝えてくれる"あわせ"になると思います。
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