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控えめだけれど、優雅な空気が漂って来ます..、切箔.霞み模様の付下と有職文様の袋帯

blog_+00.jpg"きもののあわせ"...、今回は、金彩加工が施された霞みを景色とした付下の着物と有職文様の袋帯との"あわせ"についてお話をしたいと思います。

まずは付下..、付下と言っても、柄模様が、少々控え気味とも感じられる友禅が施されているだけの付下。
僅かに、所々、金彩加工が施された"霞み"が、この着物の景色をつくっているだけ...、"ただそれだけ"の柄模様なんですが、十分過ぎるほどの印象を憶えると思います。

地色をつくっている彩色は、極めてデリケート..、ほんの僅かに艶やかであり、そして、落ち着き払っています。色が淡いようであり、かつ、深いんです。
そして、景色をつくっている霞は、単純でありながらも、やはり奥行きを想わせるんですね。金彩と、染め暈かしをずらすことで、霞みに影のような効果をつくっているんです。
どこにである単純な下絵であっても、腕の良い職人が手を掛けることで、柔らかな緊張感のある着物になるんです。

控えめな印象をConceptとしても..、着物の意識は"気品"に満ちていて、知的であり、美しくなくていけない..、そんな意識を暗示するような空気感をもっています。


実際、"きちんと"しなくていけない席..、染めの着物で"綺麗"に決めなくてはならない席での装いを想定すると、やっぱり"付下格"や"一つ紋の無地着物"などのお着物を求められる場合があるかと思います。

絢爛な感じの友禅や無地の着物では、"無難"にこなすことが出来るんですが、着物を楽しむにはちょっと教科書的でつまらないかもしれない。
着物と帯を"あわせるセンス"を働かせてみたり、染織に対する審美眼みたいなものから選んでみると..、ちょっと控えた感覚ながらも上質感を香らせる友禅の付下などをお召しになるのも..、結構、楽しめる装いだと思います。

この付下に"あわせて"みたのは、喜多川俵二制作の有職文様が織り出された袋帯...、二倍織物.竜胆丸文様との銘が付けられている西陣織の袋帯です。

この有職文様..、きっと誰に訊いても「礼装を感じさせる帯」と答えるかと思います。

しかし、この竜胆丸文様なんですが、通常、西陣織で「礼装用の帯」とされる帯に比べると、何となく礼装感覚が希薄に感じられるかもしれない..、豪華絢爛たる存在感がある訳でないし、張り詰めた緊張感という空気感が伝わって来る訳ではありません。

霞み暈かし/切箔.付下+竜胆丸文.袋帯この竜胆丸文様なんですが..、"竜胆丸文"そのものの"かたち"は完璧なほど綺麗な"かたち"をしているし、その背景に織り出されている"亀甲花菱"の"かたち"も、また整い揃った"かたち"をしている。
橙色、紫色、緑色..、この主に三つに配された色のバランスにも、何かが特に目立っている訳ではありません。

この竜胆丸文様に施された意匠..、計算され尽くしたかのような図形文様と図案の見事なる組み合わせには、何ひとつ狂いや違いがない。

文様、または、紋章のデザインとして間違いないくらい整っていて、完璧なんですね。そして、和を意識させる品位と"雅"な空気を伝えている。
こうした品位や空気は、礼装感覚だけを追っかけている織物には感じられない..、有職文様に対する歴史とか教養のようなものが重ねられることで、生まれるものだと思います。

切箔.霞み模様の付下と竜胆丸文様の"あわせ"ですが、きものと帯、双方に、和服への美意識とか、知的な感性と言ったメンタルな美しさが感じられる"きものと帯のあわせ"なのです。

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