先日、京都.東福寺の紅葉を堪能して参りました。
感動のおすそ分けと言っては失礼かもしれませんが、あの素晴らしい紅葉の感動を僅かですが、ご紹介をさせて下さい...。
東福寺は、臨済宗東福寺派大本山で、国宝指定の三門、方丈、開山堂、観音堂などの建築と数々の塔頭をもった大伽藍のお寺です。
また、街の中の寺院でありながらも、その広大な伽藍には、洗玉澗(せんぎょくかん)という渓谷があって、臥雲橋、通天橋、偃月橋という3本の橋が架かっているのが京都市内では他に類をみない寺院です。
特に、通天橋からみる紅葉は、京都紅葉の名所にも挙げられています(私としては、日本の紅葉でも指折りの素晴らしさなのではと思います)。
wikiで東福寺を調べると、歌川広重が通天橋の紅葉を浮世絵で残しているんですね。
江戸の頃から、通天橋からみる紅葉は人の眼を楽しませていたんでしょうね。
一番最初の画像は、通天橋を渡って、本堂に向かって撮った写真です。
東福寺の見どころは、紅葉、三本の橋の他に...、ご存じ方も多いかもしれませんが、昭和の作庭家.重森三玲が手掛けた庭園があります。
方丈に対して東西南北の四方に配された"八相の庭"は、"人間がつくった"自然"を想わせるようでもありながら、禅宗大本山の方丈にあるせいか、どこか哲学的というか、"禅"の思想のようなものが肌で伝わって来ました...。
もちろん、この方丈を囲む"八相の庭"は、訪れる人によって見え方、感じ方は決定的に違うとは思います。
是非とも、東福寺に行かれた際には"八相の庭"で時間を過ごしてみて下さい。
こちらの写真画像は、通天橋の傍らのお庭で撮影しました。
この日の天気は、午前は晴れ、午後から曇り、そして、雨の予報でした。この写真を写した時間は午前10時前だったと思います。
みる角度や陽光の加減で紅葉の姿は確実に変わります。
この紅葉写真ですが、レタッチ/画像処理は加えていません。
いま写真画像をみても、あの時の紅葉は言葉を忘れる程に圧巻だったと思います。
もうひとつ...、私が訪れたこの日には、東福寺の中で特別拝観されている塔頭がありました。
龍吟庵と言う塔頭で、三本の橋の中で最も小さな橋/偃月橋を渡ったところにあります。
私は、寺院の塔頭を憶えるほど詳しくはないし、興味も深くはないのですが、龍吟庵の名前は知っていました。
重森三玲の枯山水庭園がここにもあると聞いていたからです。
実は、私は、東福寺には、これまでにも幾度も訪れたことがあります。
十数年前には、特別拝観もなかったし、近年この季節に東福寺に訪れる機会もなかったため、龍吟庵には入ったことがありませんでした。
龍吟庵のお庭は、その方丈を囲んで..、東.西.南にそれぞれ枯山水が配されています。
同じ重森三玲が手掛けた方丈庭園である"八相の庭"が哲学的、あるいは"禅の思想的"な雰囲気を感じたのですが、こちらの方丈庭園/枯山水からは、まったく別の雰囲気が伝わって来ました。
もちろん、訪れる人によって感じるものは違うと思いますが..。
龍吟庵からは、あまり感動的な紅葉をみることは出来ませんでした。
時季的、タイミング的には龍吟庵の紅葉も美しいのかもしれませんが、私が訪れたこの日、この時間の龍吟庵には、息を呑む程の紅葉はなかったのです。
こちらの写真画像は、偃月橋を渡って龍吟庵の玄関のところに散っていた紅葉です。散っていた紅葉にまでにも美しさを感じられるほど、辺りは素晴らしい紅葉に尽くされていたんです。
龍吟庵の庭園のお話ですが...、東の庭は"不離の庭"と名付け名付けられたお庭で、赤い砂が枯山水に使われています。西の庭は"龍門の庭"と名付けられ、"龍の姿"を枯山水で表現されています。そして、"無の庭"と名付けられた南の庭は、ただ、白い砂が白砂を敷いただけの庭。
"八相の庭"の精神性を想うと...、ちょっと人間的な感じが伝わってくると言うのが感想でした。俗っぽいと言う感じはまるでないのですが、どこか"人間"が介する余地がある...、"八相の庭"をみた後の私にとって不思議な空間でした。
ただですね...、龍吟庵の庭園が"八相の庭"に対して劣ると言う感じはありません。龍吟庵の庭園も素晴らしい枯山水です。
龍吟庵の特別拝観は11月です。
この時季以外には、拝観することは出来ません。
11月下旬に某日に訪れた東福寺ですが、日本の麗しさとか美しさのようなもののひとつを垣間見ることが出来ました。
鎌倉時代創建の大伽藍を配する東福寺の建築群。
昭和の作庭家.重森三玲の美学をみることが出来る庭園。
そして、時を忘れるほどの感動的な紅葉。
とにかく..、東福寺の紅葉はお奨めです。
*ただ、早朝から物凄い人です。更に人が増えるお昼からはお奨め出来ないかも知れません。
閑散とした東福寺を知っている私としては、早朝の人の多さも、ちょっと興ざめるものがありましたが、あの紅葉を眼にすると何もかも飛んでしまうほどでしたが..。