ご近所の枝垂れ桜...、曇のち雨

sakura.jpg先日このBlogでご紹介をした"枝垂れ桜"です。

あれから4日経ちました。
暖かい日が続いたため、5分から6分ほど咲き始めています。

ただ、今日の名古屋のお天気は午後から雨。

桜の写真を撮るには、晴れているよりも曇の方が、綺麗に撮れると仄聞したことがありましたので....、試してみました。

確かに、薄いベールが覆っているみたいで、幻想的なイメージとなりました。

雨が上がっても、もう少し楽しませてくれそうです。

小紋も..、名古屋帯も..、いささか欧州的? 春の"きものと帯のあわせ"

更紗小紋と名古屋帯3月も中頃となりました。
時候の挨拶的にも"春霞のただよう季節.."とか"木々の緑日ごとに色めく季節.."などの言葉が遣われる季節...、寒さ/冷たさよりも陽光の温もりを感じる季節なんですね。

さて、この季節のお着物を想うと..、そんな、冷たさ..、暖かさ..、気温や天候の加減に敏感になってしまうのではないでしょうか?

ちょっと"春めいた""明るさ"のある着物と帯を意識してしまう...、"着物と帯のあわせ"にも、季節感を取り込んで行くこと...、季節感覚を取り込むのは、当然の"装いの感覚"かと思います。

着物の色には、"季節を伝える色の傾向"みたいなものがあるようです....、と言うか、"着物と帯のあわせ"そのもので、色による季節感を暗示する訳です。
例えば、桜の時季に、桜を想わせる色を、着物とか帯の中に使えば、ちょっとした季節感を出せる訳です。


今回ご紹介をさせて頂く"あわせ"では、着物と帯の色彩印象をもって春めいた印象を表現してみました。
特に、"春限定の色"と言うものがある訳ではないのですが...、ちょっと陽気が良くなって来ると身に纏ってみたい様な"色"があると思います。

そんな"色"をbaseに"ちょっと余所行き感"ある"着物と帯のあわせ"をご紹介してみたいと思います。


更紗印象の文様が染められた小紋と欧州の紋章を想わせる文様が織り込まれた西陣織名古屋帯。

この小紋なんですが、更紗印象の文様と言っても、ありがちな東南アジアの更紗を想わせる更紗ではなくて、どちらかと言うと欧州的...、現代的と言うよりも、古代ローマ遺跡のレリーフか何かに残されていたかのような文様なのです。

もちろん、この小紋の文様が古の欧州的な文様印象を引き摺っているといっても、小紋としての染め型紙を製作された際には、"着物"の柄文様として徹底的に"つくり込まれて"いるようです。

ですから、小紋てしては少々見掛けない印象かもしれませんが、安易な"洋服っぽさ"と言うものが一切ないんですね。
着物の文様と言うか、日本の文様なるものは、お手本/見本である文様が"渡来文様=import"であったとしても...、日本の文様として採用加工される際に"つくり込み"がされる様なのです。日本の風土や慣習...、日本の"色"に馴染むのは、こうした"つくり込み"がされているからのなのです。

ところで、そもそも渡来文様である名物裂文様などは、それらの典型なんですが...、渡来文様なる文様は、いつもちょっと"余所々々しい感じ"があるようです。名物裂文様などは、そもそも趣味趣向が興じた文様であるにも関わらず、いま想えば、"ひとつ上感覚"を感じてしまう筈です。

こちらでご紹介をさせて頂いた欧州っぽい更紗文様にもちょっと余所行き的な"綺麗さ"があります。"綺麗さ"と言っても"色"の綺麗さではなくて、"文様の綺麗さ"なんです。渡来文様をちゃんと"小紋の柄模様"に"つくり込んで"いるから綺麗に感じられる...、いい加減さみたいなものがまるでない。小紋と言えども、街着的な感じではないんですね。


更紗小紋と名古屋帯そこで...、やはり、欧州の紋章を想わせる西陣織をあわせてみた訳です。

そもそも、西陣織は、大陸や東南アジアからもたらされた文様を手本/見本として文様文化を育んで来た織物でもあるのです。むしろ洗練された西陣織には、異国の香りがするものは少なくありません。

この名古屋帯ですが、欧州的な文様デザインに想わせるんですが、よく見ると"菊の家紋"のような文様が、まるで違和感なく織り込まれています。
この帯地文様の出典が、日本の文様ではないとしても...、この"菊の家紋"のような文様をも、手本/見本とされたオリジナルの文様にも入れられていたとしても...、この帯地そのものから伝わる存在感は、和服を意識した存在感なんです。

西陣の制作者が、しっかり"西陣織としてつくり込んで"いるから欧州的な文様であっても、西陣の香りがする。菊の文様も十字文様もとても良いバランスが保たれています。

春の"色"を..、ご紹介しようと思い書き始めたんですが、なんとなく"渡来文様"のお話になってしまいました...。

こちらの小紋には、ラベンダー系の彩色とライトグレー色が巧く文様と地色に染め込まれています。
こうした色なんですが、やはり"春"にお召しになると、春と言う色を着物で表現出来てしまうと思います。

春、この季節に、こうした"綺麗な小紋"を薄色の帯と"あわせ"ることで、時季を暗示させるのです。

"桜"や"藤の花"のように何月何日頃から何日まで、と言うものではありません。
陽光の加減..、ひとが感じる"陽光の感じ"、そして、その陽光に映る着物の色/帯の色が想わせる印象を、季節感として"あわせ"てみました。

小紋と言えども、ちょっと"余所行き気分"の"着物と帯のあわせ"です。
"綺麗な感じ"...、染めのふわっとした柔らかい感じと綺麗な彩色、そして、少々華のあるdressyな更紗文様の着物だからです。帯も、やはり薄色で、ちょっと余所行き的に遊んでいる感があります。

TPOとしては...

*ギャラリー/画廊などでの催し。
*美術館/博物館などの展覧会。
*オペラ/クラシック、歌舞伎などの舞台鑑賞。
*お堅いドレスコード未満の宴/お食事会

おおよそこうした席がTPOとして、良いのかも知れませんが...、夕刻/夜のお出掛けよりもお昼頃からのお出掛けにお召し頂きたい"着物と帯のあわせ"です。

ご近所の桜/枝垂れ桜、まだまだ蕾ですが

まだ蕾のようですが、あと数日もするとお店から歩いてすぐの交差点(とても交通量の多い交差点なんですが)に枝垂れ桜が植えられています。

この枝垂れ桜は、植えられた翌年(10年くらい前かな)から少しずつ花を付けるようになって、今では街の中では珍しいほど綺麗な枝垂れ桜となりました。

ただ、この枝垂れ桜は、少々気が早いらしく、名古屋の桜の開花情報が出る2週間ほど早く花を咲かせます。

実は、この枝垂れ桜なんですが、この交差点に植えられたのは....、この桜のある場所から通りを挟んだところにお寺があって、そのお寺から伸び出している染井吉野の桜が際立つほど立派だったんです。そこで、この交差点にもう一つ桜をと目論みがあって植えられたようなのです。

ただ、この枝垂れ桜が、いつも早く花を付けてしまうので、お寺の桜が咲く頃には、葉桜になっている...、思惑通りには行かなかったようです。

さて、この写真は"今日の桜"です。
まだ蕾ですが...、もう咲きかけている花もありました。

もう桜の季節なんですね...


*最寄りの地下鉄の駅から5分以内にお店はあるんですが、地下から上がると方向感覚がずれてしまい、駅とお店の位置関係が分からなくなると言われることがあります。
この枝垂れ桜なんですが、ご案内している駅の出口から見えるんですね。一年中咲いていてくれると「桜の咲いている交差点」なんてお伝えをすることが出来るんですが...。

そろそろ..、春の気分 || 季節の染帯

春の花籠春の草花を主題とした「花籠」の染め帯を誂えてみました。

彩色を控えながらも、やたらと存在感があります。

賑やかな彩色を施して、彩色のコントラストを高めると「見た眼」にあざやかっぽくて、分かりやすい印象となるのですが...、暫く眼にしていると"飽き"が来やすい傾向にあります。

彩色を控えて、友禅だけで「画」を染め描くのは、何より上手でなくては出来ない仕事。
花びらあたりに...、ちょっとだけ彩色を施し、色付け程度に刺繍を入れる。それで「画」としてまとめ上げている。"もの足らない"なんて感じはなくって、実に綺麗に整い揃えられています。

"存在感"があると言っても、何もあえて難しいことをしている訳ではありません。衒いや作為なく、綺麗な仕事、丁寧な仕事を、いとも単純に重ねているだけのことです。

「花籠」は友禅では珍しい図案ではありません。
何処にでもある図案であって、やはり、それなりに季節を表現しているかもしれません。

でも、この「花籠」はちょっと違うようなのです。
この「花籠」が伝える「季節の空気感」は、単純に高貴で、そして、麗しい...。

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この「花籠」ですが、およそ7-8年前にも誂えたんです。
以前の「画」は「秋の花籠」だったんですが、今回は「春の花籠」。
下絵は、その時と違う職人でしたが、染色を手掛けた職人は以前と同じ職人にお願いしました。
すると、ちゃんと憶えているんですね。
以前の「花籠」は、"あそこにはこんな加工"、そして"ここにはこんな加工"と...、どんな加工を施してたかを語っていたそうです。

自分が手掛けた仕事をちゃんと憶えていると言うのは、真摯な仕事をしているならば、至極当たり前かもしれませんが、やっぱり、単純に良いお話かと思いますね。