生絹.綾織 九寸名古屋帯 || 織物の碩学 向井淑子.染織作品

手掛けられた作品のどれも...、創造性に溢れ、織物として精巧なのです。その上、衒いのようなものを匂わせない。
感性の豊かさは確実に伝わって来るにも関わらず、<作為>とか<計らい>の類がまるで感じられないんです。
クリエイティブな印象を受ける織物であっても、向井淑子氏の作品からは、自己主張みたいなものが伝わってくることはないんです...、あたかも「ずっと以前からあった筈でしょ」みたいな感じがある。
きっと、織物のつくると言うことを知り尽くしているんだと思います。
こちらに掲載をした織物は、柿渋で染めた生絹の織帯です。
眼にしても、触れても絹織物って感じがあまりしない。
東南アジアの植物系の織糸で織られた現地の織物と言う感じなんですね。
<つくりもの感>などは一切感じられない....、染織家が制作したと知らなければ<エキゾチックな織物>と思ってしまってもおかしくない。
こうした仕事は、何処で学んでも、誰にでも出来る訳ではないと思います。
向井淑子氏は織物の碩学なんだと思います。