金泥/手描き友禅染め九寸名古屋帯
【印度更紗模様】

紬地に染め描かれた図案は、更紗模様．．．、印度更紗から写された図案の様です。

古の印度更紗模様を写しているため、植物の図案ではあるけれど、友禅の染め帯でよくある"草花の図案"という感じはありません。
具体的に何かの植物という訳でもないようです。
異国の植物．．、あるいは、異国文化の装飾模様かもしれないし、また、異国宗教の語りの中に出てくる植物かもしれない。

墨黒色に緑の茎と葉、そして、赤い花。
この更紗には、細かく友禅が施されています。
色の濃淡だけではなく、僅かに色を滲ませることで、"色"に抑揚が生じて．．．、この更紗の図案が、墨黒色の中に、浮き上がるような効果が図られている様です。

日本的では意匠図案ではありませんが、手描き友禅と金泥を使いしっかり染め描かれているため、「画」としての存在感がある．．、だから、ちょったした古代の更紗図や渡来した宗教画のようにも映るかもしれない。

この印度更紗図が伝える雰囲気は、日本的なものでもないし、時代性にも曖昧な感じでもある．．．けれども、帯地として染め描かれているのです。
そもそも趣味性のあるお着物．．、例えば、織のお着物が想定されていると思います。そんな、お着物に対しても、ちょっとしたアクセントを図る．．．、無国籍的、渡来的、あるいは、時代の知れない雰囲気を伝えられると思います。