琉球織物
首里織道屯織(ロートン織)

 

こちらに掲載を致しましたのは琉球染織.首里道屯織(ロートン織)の着尺です。

道屯織は、経糸で裏表に花織が織り出される染織手法。
この道屯織は、そもそも、首里織に伝承されている染織手法なんですが、現在、染織家が手掛ける染織作品の中にも、見掛けることがあります。

琉球織物には多様な織物があります。
僅かな土地の中で、数多くの織物が、過去より伝承され、現在も展開されています。織物は、花織だけではなくて、平織も、もちろん、織られ、特徴的な絣織をみることが出来ます。素材は、絹織、麻織物、綿織物、芭蕉布、また、異なった素材が織り込まれた交織織．．、それら素材に、さまざまな染織手法と、草木染めを主とした染色が施されています。

首里織は、王朝時代には、絹の織物を織ることを許され、かつ、王侯貴族の衣裳の制作に関わることで発展、伝承されてきた織物、歴史的にも、品位のある織物です。

首里織は、琉装から和装へとその"かたち"が移り変わった現在でも、他の織物と見比べても麗しい空気を想うことが出来ます。砕けた感じ、緩い空気感、妙に洒落た印象という感じなどがあまり感じられません。
そもそも、麗しさのような雰囲気をもった織物なのです。

こちらに掲載をさせて頂いた首里織のお着物は、道屯織の手法だけで制作されています。
彩色は、僅かに、経に濃淡の暈かしが施された"オフホワイト"、ただ一色の色印象です。
色そのものにさえも、個性を想わせる琉球織物の中でも、こうした"オフホワイト"一色の織物は珍しいかも知れません。
けれども、首里の織物だからこそ、こうした"オフホワイト"、"白"と言う印象それだけで色表現されることも違和感はないのと思います。
"白"の中に、そもそも、貴装の空気感が漂っています。首里道屯織の着物として、相応しい色印象なのかもしれません。

この首里織には、南国の織物にありがちな"あざやかな"彩色印象がある訳はないし、東南アジアの織物を想わせる複雑で、多彩な花織が施されている訳ではない、琉球織物特有の絣織が織り出されている訳でない。
草木染料でつくられた"白"、"オフホワイト"という彩りを道屯織の中で巧妙に展開させることで、麗しい美しさが実現されています。貴装感を想わせる程の織物です。

余所行き以上のお着物としてお楽しみを頂けます。