新垣幸子：八重山上布『板花織』九寸名古屋帯

重要文化財技術保持者(人間国宝)、日本伝統工芸会正会員：新垣幸子制作の八重山上布九寸名古屋帯です。

八重山上布は、記録に残る範囲では、およそ400年以上前から八重山諸島に伝わる草木染め手織苧麻織物です。
この作品の制作者 新垣幸子氏は、日本伝統工芸会の正会員として、伝統されて来た八重山上布の存在を踏襲しつつ、自身の作品としての八重山上布を制作されています。また、八重山上布の制作者としては初めて人間国宝の認定を受けた染織家です。

こちらに掲載をさせて頂いている作品には、九寸名古屋帯ながらも、新垣幸子氏の作品性が完成された形で表現されています。

新垣幸子氏の作品は、他の八重山上布の制作者の作品ではみられない色彩印象を伝えています。沖縄の染織は、鮮やかさに彩られている事が少なくはありませんが、新垣幸子氏の八重山上布は、色と色が美しく調和をしていて、その布(八重山上布)は、まるで自然の彩りそのものを想わせてくれるのです。
特に、琉球藍が使われたブルー系の作品表現は、新垣幸子氏ならではの作品性が色濃く伝わって来ます。

こちらに掲載をさせて頂いた八重山上布には、苧麻織物には珍しい花織(板花織)と琉球染織特有の緯絣(カキジャー)を組合せてデザインされています。シンプルなデザイン性でありながらも八重山諸島の透き通った美しい空気が伝わって来そうな美しい作品です。