洛風林制作:袋帯
牡丹唐草
織り出された花の図案は、牡丹唐草文様です。
牡丹唐草文様は、西陣織の図案としては、珍しくはないかもしれませんが、少々独創的な感じがします。
まずは、牡丹の花なんですが、西陣織の図案としては、少々ユーモア感覚を伝える"すがた"をしている..、茎は、花の大きさに対して、バランスがあわない程に細く、主役たる花以外の花、茎、葉は、"陰"のように箔で織り出されている。
この"陰(かげ)"のような箔使いに対して、主役を張っている花は、大きく花弁を開け、雄しべを覗かせています。
図案として、洒落ているのかもしれません。
洒落ているにもかかわらず、品格みたいなものをしっかり伝えているような感じがするんですね。
そもそも、本当に牡丹であるのか、また、名物裂文様である牡丹唐草文様であるのか、ちょっと怪しくも感じられます。
しかし、この西陣織には、名物裂が持っている、ちょっとお堅い感じの趣味性みたいな空気は薄いように感じられ...、むしろ、伝統的な名物裂牡丹唐草文様と言うよりも、図案を描いた者の独創性の色が濃いように感じられるんです。
西陣織の袋帯の巾は、ほぼ八寸..、その八寸の巾に、収まることを無視するかのような、奔放、磊落な感覚で織り出されているんですね。何かにとらわれることない..、美的な感覚だけを頼りに下絵図案を描かれた感じもする。
この図案を描いた絵師の美的な感性の豊かさに感心をしてしまうし、そして、どこか知性のような香りを想ってしまうのです。
制作者は、この図案を巧く織物に..、袋帯として織り上げています。
背景に、有職四ッ目菱を織り込み、まるで"陰(かげ)"と"日向(ひなた)"のようにこの図案を織り出している。
鈍い金箔と"きなり"のほぼ二色だけで織り出されているとは思えない程に、深さ、奥行きを保たせている。牡丹の図案に対して、"きなり"の背景(四ッ目菱)が、絶妙な"間"をつくっているんですね。
"日向"の如く織り出されたちょっとユーモラスな"主役の牡丹"と"陰"のように織り出された"茎と葉、花"、そして、四ッ目菱が織り込まれた背景"のバランス感覚が、美しいくらいに..、かつ、危うい感じで整っているんです。この西陣織を手掛けた制作者の美意識から..、この西陣織の質感覚や空気感などすべてが図られているんです。
絢爛ではありません..、礼装感覚を真っ正面から伝えている訳もない..、また、趣味性で片付けられる感じでもない..、それにかかわらず、"きちん"とした感じがあります。
とても日本的な整った美しさを感じるんです。そして、「洒落た感じ」などと思い違いしてしまうのは、伝統にとらわれない、制作者の美的な意識、または、美的知性が、この西陣織にこめられているからなのです。
趣味や趣向、そして、礼装、伝統的な匂い..、それらのありがちな意識をこえて、制作者の実に綺麗で整った感性と美意識に満ちた西陣織袋帯です。
この牡丹の西陣織ですが、軽い礼装のお着物や余所行き的なお着物にまでお使い頂けます。
付下、一つ紋のお着物から御召、無地系の織物、江戸小紋、等々。
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