真栄城興茂 制作：琉球美絣
藍染め絣織(絹織/単衣向き)

こちらに掲載をさせて頂きました織物は、染織家：真栄城興茂が制作した琉球美絣。

琉球美絣は、およそ、半世紀ほど前、真栄城興茂の実父真栄城興盛(故人)がつくり上げた草木染め絣織物です。真栄城興盛が制作したこの美絣は、琉球織物の伝統に抗うことなく、伝承された染織を学び、培い、自身の美意識を昇華する織物としてつくられました。
琉球美絣の制作は、現在、真栄城興茂氏に継承され、興盛氏が手掛けていた時代にも増して作品性が色濃く反映したものとなっています。

こちらに掲載をさせて頂いた美絣は、緯糸に繊細な駒糸が使われた絹織物。
単衣のお着物を想定して制作された薄機の織物です。

琉球藍と琉球の絣が相俟った作品性からは、琉球の伝統的な薫りを伝えながらも、現代的、かつ、瑞々しさを伴った美しさが表現されています。決して小さくない絣は、藍の中で揺らめている、または、藍の中に流れて行くようにも映ります。僅かに透ける薄絹、藍の色加減、結晶の様に煌めく絣が、絶妙で、創造的な美しさをつくり出しています。

沖縄を想わせる織物、沖縄の織物以外の空気感は感じられない織物ですが、この作品には、伝統的な琉球染織にはない、新鮮で、斬新な綺麗さを伝えている。琉球美絣は、いま生きている、現代の美しい沖縄の織物なのかもしれません。

藍染めの絣織、その言葉だけでは普段使いのお着物にも感じられるかも知れませんが、普段使い以上のお着物としてお楽しみ頂けます。