小島秀子 制作:九寸名古屋帯『木々の聲』

こちらは、染織家 小島秀子さんの作品(九寸名古屋帯)。

絣織と浮織、色彩と色彩が整然と織り出されたこの作品には『木々の聲』とのタイトルが付けられています。
このタイトルを思うことなく、この作品をみていても、森の予感、あるいはノルディックな雰囲気を憶えます。
幾つもの色彩が施され、その色彩を表現する絣と浮織が織り出されています。色彩と織が、眼の中に入っていてにも関わらず、騒がしさなどは一切感じられません。むしろ、色彩と色彩が、デザインの中で、かすかに響き合い、僅かな音の気配が伝わってくるかのように感じられます。その音の気配は、澄んだ空気に満ちた森の音のイメージに重なります。『木々の聲』は、もしかすると、そんな森の音色を暗示しているのかもしれません。
まるで、色彩とデザインが、美しいハーモニーを奏でるかのように調律されたかのような織物作品です。