四ツ井健 作
染め九寸名古屋帯『幸雲』

「雲」の図案は古代中国の神仙思想由来の吉祥を暗示する図案とされています。
こうした「雲」をモチーフにデザインされた染め帯は、日本工芸会正会員：四ツ井健さんの作品。サイズの違う「雲」を規則的に組み合わせ、作品のデザインイメージがつくられています。このデザインは、まるで「雲」の相似形で構成されている＝フラクタルデザインのようにも見えて来ます。描かれた「雲」の一つ一つは、ユーモラスな表情を伝えていますが、その「雲」が構成するデザインからは、幾何学的なイメージが伝わって来ます。そして、見掛けない図案/デザインかもしれませんが、何故か古典的な空気を憶えます。それは、自然の中にある"かたち"や、何時も目にしている筈の"かたち"をデザインしているからなのかもしれません。
この作品のタイトル『幸雲』は、「雲」の図案が暗示する「吉祥」から「良縁」へイメージを拡げるため付けられたそうです。