岩井香楠子 制作
型絵染め九寸名古屋帯『ブレーメンの音楽隊』

『ブレーメンの音楽隊』は、人間に捨てられたり、食料にされそうになったりした動物(ロバ、犬、猫、ニワトリ)たちが、ブレーメンで音楽隊に入るため、旅をする物語。グリム童話の中でも有名な物語のひとつです。
こちらに掲載をさせて頂きました作品には、ヨーロッパの古い街並みを練り歩く動物たちが、型絵染めで描かれています。青と緑の絞り染めは、まるで森のようにも見えて来ます。トランペットを咥えたニワトリを先頭に、動物たちの表情はとても楽しそうです。
この作品に描かれているのは『ブレーメンの音楽隊』の僅かな一節なのかもしれませんが、この作品を見ているだけでも、物語の幸せなエンディングまで想像出来てしまいそうです。
もうひとつ…、この作品にはユーモアめいた絵が描かれています。それは、風船を持ったおさげ髪の女の子。足下には猫がいます。名前が書かれていますね。香楠子ちゃん。この女の子、帯を結ぶと残念ながら隠れてしまいます。