白たか上布：夏織物
制作：小松織物

白たか上布は、山形県西置賜郡白鷹町にある白鷹織の機屋小松織物工房が制作している夏の絹織物。
「上布」と名称が付けられていますが、麻織物ではありません。極細で、かつ、柔らかな絹の繊維を絡み合わせることでつくられた「節糸」を使い、高機で織り出すことで特有の素材感が生み出されています。生紬や強撚糸を使い織り出された張りのある素材感とは違います。柔らかく、さらっとした質感は、肌に馴染む感覚を伝えていてます。
生地は、節のある極細の絹糸が使われているせいか平織でありながらも、朧な透け感を漂わせる紗布を想わせます。この薄織の生地は、絹の艶感と相俟って、ちょっとした余所行き感覚の着物として映してくれます。上質な「白鷹お召し」を制作している機屋ならではの夏織物です。

こちらに掲載をさせて頂いた「白たか上布」は、藍色系の絹糸に白色系の絹糸を織り混ぜながら細密な経縞と軽い緯縞が織り出されています。縞織の風情にも感じられますが、節糸がつくる経の景色は、透け感と重なって「夏夜の雨」を想わせる感じです。どこか涼やかな空気を伝える夏の衣です。