め由工房 山下芙美子 制作 本場黄八丈『黄×黒』
八丈島に残る古い文献では黄八丈の起源は700年程前に遡るそうです。数百年前の黄八丈と現在制作されている黄八丈にどれ程の違いがあるかは分かりませんが、山下芙美子氏(め由工房)が手掛ける本場黄八丈は、八丈島に伝承された古法によって制作されています。
黄八丈は、八丈島に自生する草木だけで染められる紛れもない草木染め手織紬。この"草木染め"でつくられる色は、黄・鳶・黒の三色しかなく、この三色を組み合わせることでデザインが表現されています。
この黄・鳶・黒だけでつくられる本場黄八丈は、草木の彩り、本来の美しさを伝えてくれます。何か足らないと感じることはありません。むしろ、他の織物からすると限られた条件の下で制作される織物なのかもしれませんが、孤島で何百年間も培われた叡智によって、たった三色でも比類無い美しさを表現する織物になったのだと思います。
め由工房の山下誉氏は「不自由さの中から生まれる自由。行き着くところは従来の三色」と言われています。
こちらに掲載をさせて頂いた本場黄八丈は、め由工房:山下芙美子氏が制作を手掛けた作品。
あまり見掛けない彩りの黄八丈かもしれません。
黄八丈の基本色である『黄』と『黒』を市松綾織に織り交ぜることでデザイン表現されています。
細密な市松織に鈍い黄色とグレイ色が織り出されることで、深緑の葉のイメージよりも黄色が強く、黄緑よりも緑のイメージが感じられ、光加減で彩りに抑揚が生まれ、その表情が移り変わります。この色彩の表情は八丈島に自生する植物から生まれた彩り。
森を歩いていると見掛ける、あるいは、想い出すような自然の彩りに似ているかもしれません。見ていると、ゆっくりと引き込まれて行きそうな感覚を憶えます。
精緻、かつ、ほんの僅かに大きさが違う市松を組み合わせてデザインされた綾織は、自然の彩りを、澄み渡るような美しい彩りとして演出しています。
彩りの柔らかさ、綾織の美しさ、絹の艶感が、精妙に調和した綾織。森の面影や香りが漂うお着物です。
いろいろと書いてみましたが、画像では捉えきれない色彩です。
実際にご覧になると「こんな色なのか?」と思われるかもしれません。
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・ | Reisia手描きジャワ更紗染め帯(sisik)とあわせました。 |
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