城間栄市 制作
琉球本紅型.九寸名古屋帯
『むるぶし浜』

 

城間栄市制作の本紅型九寸名古屋帯。

この作品は"むるぶし浜"と銘が付けられています。
デザインとしては、これまでの琉球紅型にはないイメージのデザインかもしれません。
また、彩色は、古代琉球紅型の色を継承しているのかもしれませんが、この彩色さえも、この作品のデザイン性を意識してしまうと、紅型の彩色である事を忘れてしまいそうです。
この作品は、制作者の独創性に満ちているようです。

これまでの琉球紅型のイメージを超えていた感覚を憶えます。
けれども、とても沖縄らしい、そして、もしかすると叙景的な作品だと思います。経に描かれたうねるようなデザインは、沖縄の浜辺．．．、夜空と浜辺を、そして、散りばめられた丸模様と細かな点は、波音と満天の星を想わせるかもしれません。そして、静けさを保ったその夜空と浜辺に、伝統的な琉球紅型の彩色を使ったデザインを描き込まれています。
もしかすると、とても大胆なデザインなのかもしれません。
けれども、大胆なイメージは伝わって来る事はないし、むしろ、心地良い静けさが漂っていて、時に、綺麗な煌めきを感じられます。それは、自然の中を彷徨っているとよく感じられる感覚です。

紅型の彩色が使われているにも関わらず、紅型の色を忘れてしまうのは、この作品のデザインが、その図案だけではなくて、使われている彩色も、すべて完璧なまでに整っているからなんだと思います。
完全な"かたち"で揃えられることで、色の個性も、そのデザインの中に溶け込んでいるのです。

沖縄を描いた作品の様です。琉球王朝時代から続く本紅型の中でも、これまでになかった独創的な表現で制作されていますが、間違いなく紅型の彩色と紅型でしか表現出来ない叙景性に満ちていると思います。

デザインも彩色も整っているため、着物にあわせやすく、馴染みやすい本紅型帯です。

 

・	顔料など天然染料が使われているため、擦ることで色が移ることがあります。ご了承の上、ご用命下さいます様、お願い致します。 真綿紬に染められています。
・	お太鼓の"たれ"は、お仕立て次第で、無地(ブルー色)を出す事も、柄模様を出す事も出来ます。