山本由季 制作
薄絹染め九寸名古屋帯

染色家.山本由季.制作の染め九寸名古屋帯です。

生紬に染められた図案は、制作者の「夏のイメージ」の一コマなのかもしれません。、まるで．．、夢の中、あるいは、瞳を閉じた際に、花模様が舞い散っているかの様です。
具体的な花の図案ではありません。イメージが、次々立ち上って来ては、どこかに消えて行く．．、だから、説明が付かないけれども、何となく、心地良さが伝わって来るかと思います。

こうした制作者の美的なイメージだけで染め描かれる図案は、すなわち、制作者の個性に彩られている．．、制作者しか伝えられない図案や彩色印象で、構成されている訳です。
この作品の優しい彩色と柔らかな図案は、制作者の「夏」に対する心象風景が映されてものだと思います。

個性に彩られていても、個性的とは言葉が、何故か馴染まない様に感じられるのです。他の何かと相容れない個性ではありません。むしろ、他の彩りや柄模様と馴染んで行くかのような期待感も感じられるのです。

きっと強い美意識をもって制作をしたのではなくて、湧き上がる心象風景を、赴くままに染め描いてみた．．、感じなのかもしれません。

夏のイメージが、まるでパステル絵画の様に染め描かれた染め帯です。