● | 世界に3つしか現存しない国宝「曜変天目」のすべてが、この時季それぞれ公開されているとの事だったので、大型連休の間、美術館巡りをして参りました。
「曜変天目」とは中国南宋時代(12-13世紀)につくられたとされ、漆黒の器の内側に星のような斑文(玉虫状の青や紫)が浮かび上がり、あたかも器の中に宇宙を見るかのように映ると言われることがあるほど美しい茶碗です。 4月30日に出掛けた展覧会は、信楽のMIHO MUSEUMで催されていた「国宝 曜変天目と破草鞋(はそうあい)」。龍光院に伝来(四百年)する名宝(国宝/重文を含む)が数多出品された展覧会です。 |
MIHO MUSEUMに展示されていた曜変天目は、青や紫の玉虫状の油滴が浮かび上がる様にライティングが施されていました。
器の中に小さな宇宙..、国宝指定のお茶碗で一番分かりやすいかもしれません。
MIHO MUSEUMは、信じられないくらい山の中にあります。桃源郷をイメージして建てられた様ですが、山の中に突然現れる近代建築とその宝物を思うとイメージは間違っていないと思います。
余談ですが、今回の「龍光院の曜変天目」とは別に、MIHO MUSEUM所蔵の曜変天目も展示されていました。この曜変天目は加賀藩伝来の重文指定されているお品です。国宝の曜変天目と比べると油滴も細かくて、地味な感じに止まっている様な気がしました。
5月4日からは東京に出掛けました。国立新美術館で国展も催されているし、静嘉堂文庫の曜変天目を観るためです。
この燕子花は、静嘉堂文庫に行く前に立ち寄った根津美術館のお庭で撮影しました。
この時季、根津美術館では、 尾形光琳の燕子花図屏風(5千円札に載っています)が展示されますが、お庭の燕子花も見事です。藤の花や躑躅も咲いていて、ちょっと良い気分になります。
静嘉堂文庫は、世田谷にある旧三菱財閥の当主岩崎弥之助・小弥太父子のコレクションを基礎として発足しています。自然豊かな岡本静嘉堂緑地の中にあります。コレクションの展示は、古い建物とは別に建てられた「静嘉堂文庫美術館」で展示されます。
この日は、「日本刀(備前刀)」の展覧会が催されていて、こぢんまりとした展示室には来館者が多くみられました。曜変天目は、MIHO MUSEUMとは違い、特別なライティングが施されることなく、ほぼ自然光の下で展示されていました。お昼頃で、日当たりも悪くはなかったんですが、屋内の自然光展示の為か、油滴の色の感じが「煌めく」という程の感じには映りませんでした。ただ、器の「かたち」は、龍光院の曜変天目よりも観やすかったです。明るい上に、間近で観られます。
尚、静嘉堂文庫所蔵の曜変天目は、例年、この時季に展示されます。
六本木の国立新国立美術館で催されていた国展のお写真。
毎年、国展を観覧するのが楽しみです。昨年の作品を憶えていて、今年の作品を観ると作家さんの作品制作イメージが繋がって感じられることがあります。
昨年、12月に急逝されたルバースミヤヒラ吟子さんの首里織作品が、特別展示されていました。昨年は花織のタペストリーでしたが、特別展示されていたのは国展に向けて制作された作品ではないそうです。